2013年02月21日

クリアチャンネルの盛衰

アメリカのメディア・コングロマリット、クリアチャンネルに関するドキュメンタリー「Right of the Dial〜The rise of Clear Channel and the fall of commercial radio」(Alec Foege著、Faber and Faber社刊)を読みました。

クリアチャンネルはテキサスの一ラジオ局を振り出しに、買収に次ぐ買収を重ねて急拡大。最盛期の2000年前後には、ラジオ局1,233、テレビ局41、屋外広告(billboard)770,000台を所有。さらに全米各地のコンサート会場を買収して、コンサート興行にも進出。当時、ラジオ業界2番手が所有していたのは200局あまりでしたから、巨人と呼ぶにふさわしい存在感だったのでしょう。

メディア各社が構造的な不況に苦しむ中で、その隆盛ぶりは注目を集め、「メディア企業経営の輝かしいお手本」「インターネット時代を生き抜く先導者」「過去の遺物になり下がったラジオを再生させた」と絶賛されました。

ところがその名声は長続きしません。リスナーや音楽業界関係者、連邦議会など、あちこちで批判が沸き起こり、株価が急落、事業縮小を余儀なくされます。クリアチャンネルの創業者、ローリー・メイズは金融業界出身。その経営理念・手法は、伝統的なメディア企業のそれとは相当異質なものです。それゆえに成功し、また、それゆえに衰退したといえるでしょう。

今日的な、新しい次元で、メディアの文化的価値とビジネスをどう両立させるか。クリアチャンネルの盛衰の物語はその問いを突きつけてきます。
(と)


posted by MOT at 13:52| Comment(0) | TrackBack(0) | メンバー日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする