2013年03月19日

「除却」のススメ …消費税の嵐の前に

 新聞労連の第121回春闘臨時代議員大会議案書(1月1日発行)によると、新聞41社のサンプリング調査で内部留保が1995年度から2010年度で2倍に増えているそうです。広告売上の激減や読者離れにも関わらず、着実に利益をため込んできたことがうかがえます。労働者としては、この利益を賃金に回してほしいと切実に思っていますが、そこはぐっと我慢して、経理部員として将来の負担軽減のためになると思われる使い方を一つご紹介します。

現在、わが社で取り組んでいることですが、それは役割を終えた資産の除却です。除却とは、主として有形固定資産(建物や機械装置)を取り壊したり、廃棄したりすることです。これは会社の業績に大きな影響を与える法人税の存在を逆手にとったものです。「節税」という表現もされます。法人税は企業が稼いだ「所得」に課せられるもので、所得は「利益」とは微妙に違いますが、ここでは同じとし、税率40%で話を進めます。

 今、例えば5億円の利益を見込んでいるなら、最終的な当期純利益は、この利益から40%の法人税2億円を差し引いた3億円となります。まとめると以下のようになります。

  利 益   5億円
 法 人 税 △2億円(5億円×40%)
―――――――――――――――――
 当期純利益  3億円

 ここで、帳簿上1億円の価値があるけれど、制作システムの合理化などで使わなくなったビルがあるとします。再利用するにも補修が必要で、使い道を考えたり、借り手を探したりと手間が掛かりますので、思い切って5,000万円の工事費を掛けて取り壊すことにすると、以下のようになります。

   利 益   5億円
  特別損失 △1.5億円(工事費0.5億円+資産価値1億円)
―――――――――――――――――
 税引前利益   3.5億円
  法 人 税 △1.4億円(3.5億円×40%)
―――――――――――――――――
 当期純利益  2.1億円

特別損失として1.5億円費用が増えても、利益の減少は3億円から2.1億円と0.9億円に納まります。法人税が特別損失額の40%減るので、利益は60%しか減らないためです。

しかも、現金の動き(キャッシュフロー)で考えると、除却しない場合は

>> 純利益分の3億円が増え、

除却した場合は

>> 純利益2.1億円+資産価値1億円(現金流出のない費用)=3.1億円増える

ため、除却した方が、0.1億円プラスになります。

資産価値がゼロだったとしても、除却した場合の追加支出は、

>> 0.5億円(工事費)−0.2億円(法人税減少分)=0.3億円

と、実質負担を軽減できます。

 節税できるだけでなく、固定資産税やエレベーター保守料や電気代などのランニングコスト削減につながりますので、いつかやらなければいけないことがあるなら、早めに済ませておきましょう。

 例え、除却により赤字になっても、繰越欠損金として翌期以降の法人税節税に使えるので、やる意義があると考えます。

 何より、私が強調したいのは、一度除却してしまえば、経営者や管理職がその扱いを悩んだり、労使交渉したりすることから解放されるメリットです。

 わが社では、建物のリストラとともに、社内が手狭になったために、社員食堂の廃止も提案されました。名残惜しい面もありますが、廃止によって、総務局で食券を作ったり、回数券を給与引きしたりする作業がなくなるだけでなく、労使で定期的に開いていた「社食改善委員会」に集まらなくてもよくなることが、ありがたいと思っています。

 2014年4月に消費税が増税されれば、家計切り詰めにより、さらに新聞部数が落ち込み、業績が悪化することが予想されます。今のうちに片づけられることは片付けておき、身軽になっておくと、より耐性が強くなると思います。

 嵐の中では、屋根の補修はできません。1年後に消費税増税という災いが来ることが分かっているのですから、今のうちに過去に蓄積した利益を使って、補強すべきは補強し、荷物になりそうなものは処分することをお勧めします。会社が提案しないのであれば、組合から提案するぐらいのことをしないと、嵐の中で補修しないといけなくなると思っています。
(惑)

posted by MOT at 20:02| Comment(0) | TrackBack(0) | メンバー日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする