2009年03月14日

レビュー:創4月号+徹底検証:日本の五大新聞

創4月号
「新聞社の徹底研究」ということで、我らが豊委員長ほか4名の対談に加え、大手五紙の直近の経営状況と収益改善への取り組みを紹介している。
新聞という業界として対応策を語れる時期では無くなっているので、個々の企業ごとにプラス点を取り上げており、全国紙の生き残り戦略が比較できて良
い。
また地方紙・ブロック紙は全国紙のミニモデルなので、大局としては大手紙の企業比較が一番わかりやすいと言える。
一方、対談では「ジャーナリズムとは」という点、つまり新聞産業全体としての紙の品質、記事の品質をネタに対談が行われており、
「切り詰めるところはやり尽くしている」「大手紙は夕刊を止めるのは難しい」とのくだりは、市民感覚とのずれも感じるが、 ジャーナリズムとして、報道への姿勢と記者それぞれが強くならねば、など、新聞は結局記事の集まりであり、記者次第という点には強く同意できる。
社ごとの分析と全体論、両方の視点が得られるが、若干物足りなく感じたのは、各新聞社の分析について。各社のIRに忠実に従ったような内容で、「このままの状況では経営が行き詰る社が増える」という雰囲気を醸し出せなかった点。 これだけ見ていると、どの社も当分安泰だ、という印象を受けてしまった。

そこで、厳しい現実を知りたい人は
「徹底検証:日本の五大新聞」
がオススメ。
創同様の五大紙について、新聞の内容と株主構成、資本についてなど、大手新聞社が持つ歪みを検証している。新聞社のダブルスタンダードを取り上げた大塚氏の「新聞の時代錯誤」の最新版、とも言える。

各社の屋台骨を揺るがすような事件やその資産構成など、概ねで流れと現状を押さえられるので、詳細に知りたければ「メディアの支配者」「日経新聞の黒い霧」など詳報を読めばよいが、まとめとして一冊読んでおくだけで十分かも。
昨年自分が研究した株式の譲渡制限やテレビ電波の公共性について、そして資本構成など、うまくポイントをまとめてあると思う。
また、参考文献も豊富に記載されいるので、関係書のポータルとして、手始めに読んでみるのも悪くない。

そして、この本のキモは、後半にある。経営理論の専門家である筆者から見た、「大学も新聞社も、ともに株式会社体制の外にあって、株式会社体制に依存し、それを支えることで機能している」という「新聞社と大学の似かよった構造」には、組織構造と資金の出所、体制批判しつつも体制の管理下に置かれている点で、なるほどと思った。
さらに筆者は「記者クラブ」を通じた”中立性報道”など誤魔化しだ指摘しており、この状況を生き残るためには、新聞記者個人が専門性を持ち、新聞社と個人として契約できる組織を持つと同時に、新聞社本体も、300人程度の専門分野の小規模新聞に分割する、と提案をしている。

やはり最後は個々のジャーナリストに行き着く内容なのだが、新聞社という企業内にこもっていては時代の変化に取り残されるだけだろう。「守るべきもの」を守るため個々人がどう変われるか。外側から新聞を見つめなおすことが必要だろう。
posted by なべ at 03:57| Comment(0) | TrackBack(0) | ブックレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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