2012年01月20日

「限界集落の真実」(山下祐介著)

少し手前味噌の話題になりますが、本を1冊、紹介させていただきます。

○筑摩書房「限界集落の真実 ─過疎の村は消えるか?」
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480066480/
”消滅しそうな集落などいったいどこにあるのか?−「限界集落はどこも消滅寸前」は嘘である。危機を煽り立てるだけの報道や、カネによる解決に終始する政府の過疎対策の誤りを正し、真の地域再生とは何かを考える。”

☆筆者のブログ−「『限界集落の真実 村は消えるか?』(ちくま新書)刊行します」
http://yamasso.blog63.fc2.com/blog-entry-77.html

この本は、ある新聞社の年間企画連載「ここに生きる」(2008−09年に掲載)を、一つの核として生まれました。そして、私はこの連載の取材・執筆に携わりました。

企画そのものが、地方紙ではあまり例のない「共同作業(コラボレーション)」でした。大学研究者と地方紙記者が手を携えたら、何ができるのか−。そんな視点が、企画誕生の発端でした。発案者は、本書の著書・山下祐介首都大学准教授(元弘前大学人文学部准教授、現・非常勤講師)です。

彼は、国内各地の山村・漁村を歩き、自分の目で確かめた事実・人々の言葉に、統計的なデータを組み合わせて、高齢化と過疎が進行する地域の現実を、適切に描こうと努めていました。そして、山村や漁村の未来を切り開こうとしていました。

一方、地方紙は地元読者に寄り添うことを目指し、どんな山奥でも新聞を届けます。でも、そこに住む人たちの視点、生活感覚を紙面に反映させられているか。何よりも、山村・漁村や「限界集落」の現状と将来像をどこまで適切に把握し、課題解決に向けて「言論の場」を設定できているのか。かねてから、個人的にとても心細い思いを抱いていました。

詳しくは、本書を手に取り、そして読み込んでいただきたいのですが、取材を通じて、私には非常に大きな発見がいくつもありました。

「限界集落といっても、西日本と東日本・北日本とでは、様相が大きく異なる。その事実自体を、ほとんどの人が知らない」
「多くの人の努力やつながりが、この瞬間にも、さまざまな暮らしと環境を守っている」
「行政や研究者、記者にはできないことがたくさんある。住民自らの力が最初で最大のカギ」

(当初は共著・出版の構想もありましたが、諸事情から、山下先生執筆部分について、全面的な改稿を経て単著になりました。結果的に、適切な展開だったと振り返っています)

見通しの利かない、少子化・高齢化・人口偏在が進む日本の中で、ローカル・メディア、ローカル・ジャーナリズムはどう生きていけばいいのか。誰とどう手を携えればいいのか。本書には、多くのヒントが記されているはずです。

逆に、このような視点に立つことなく、読者や広告主を「収入源」としてしか捉えられないなら…。行き先はどこでしょう。私たちは、誰にために何をしているのか。本書を手に、あらためて考え込んでいます。(MOT)

※追記 本書では、青森県のほか秋田、新潟、鹿児島、島根、京都、鹿児島など多くの県の集落を扱っています。
posted by MOT at 21:25| Comment(0) | TrackBack(0) | ブックレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック