2008年08月22日

新聞の時代錯誤

日経新聞の黒い霧の著者、大塚将司氏の著作。
前著が日経新聞社とTCWに絡む一連の事件について調査結果を著述したものだったが、今作は日本経済新聞社と朝日新聞社の不祥事とそれの対応から始まり、日本の新聞社が戦争直後の旧体制を守っているという点に頁数を割いている。

両社の不祥事とその対応、再販制度について、そして日刊新聞法について詳細な分析と批判が込められており、勉強になった。

この研究会でも昨年法律チームとして会社法、再販などについて研究報告を行ったが、この本一冊に及ばない報告にとどまり、反省している。

自分も昨年になってから学んだが、新聞社がどのような法律に守られているか、そして、その法律が無くなったらどうなるのか。
経営の手段として新聞社の上場はありえるのか、再販制度の撤廃とはどのようなことにつながるのか。知らなければシュミレーションできないことも数多く、新聞社と法律という視点からよく研究されており、もっと早くに読んでおきたかった一冊だった。

なお、各新聞社のサイトでは消えているが、SLAPP WATCHによると
この本について日経新聞社は大塚氏を名誉毀損で提訴したようだ。

株券譲渡の裁判もそうだが、日本の新聞社にとって、日経新聞社はいろいろとウォッチしがいのある裁判が多い気がする。




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2008年08月18日

クライマーズ・ハイ



「命を追った、あの夏。」
というキャッチコピーで上映されている、映画の原作。
yahooの映画レビューでも
http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id330008/
3.7の評価は、まずまずと言えよう。

著者は、横山秀夫氏。
元上毛新聞社の記者であった氏が、日本航空123便墜落事故をテーマに、名作を書き上げた。

映画は見ていないが、小説は良かった。
主役は記者。
圧力をかけられても、自分の正義に従って紙面を作ろうとする。
怒鳴り込んできた上司や広告・販売などと戦い、上からは白い目で、後進たちには尊敬の眼差しで見られていく。
まさにワタシが思うとこの「カッコイイジャーナリスト」の雛形だ。

新聞社を一企業として経営するのは理解できる。
一方で、ジャーナリズムとは何か、という点は常に問い続けないとならない。
そして多くの研究者が言うように、答えは出ている。理想は出ている。
しかし、「俺の一票を投じても日本変わらないし」と言って選挙にも訪れない若者と、「俺が動いても会社が変わらない」と言っている社員の間に、どんな差があるのだろうか。

正直、日本の新聞社にはこんな熱い人材はいない。
が、出てきてほしいし、出てこないと困る。

この本を読んで、命の報道方法について、
そしてジャーナリストについて考えてもらえるだけでも、価値があると思う。
できればジャーナリストを目指す学生たち・生徒たちにも読んで欲しい。決して無駄にはならない。

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2008年08月17日

電波利権



「日本最大の既得権益集団」はテレビ局である
と帯に書いてある、池田信夫氏の一冊。

新聞も「最後の護送船団」などと呼ばれているが、果たして最大の既得権益集団はどちらが上か。
テレビ局と新聞、傍目から見るとどちらも高いインフラとコンテンツ、そしてポテンシャルを持っている。一方でその資産を生かしきれていない、という指摘は決して的外れなものではあるまい。

日本の新聞社は夕刊をやめたり、ページ数を減らしたりという選択をしているが、これは本当に正しいのか、を考えさせられた。

テレビでは「電波」という限られたインフラを有効利用する必要があり、各国の携帯業者、テレビ局などはその電波利用権の獲得に躍起になっている。

新聞というインフラも、必ず「配る」ことが決まっているのに、ページ数を減らすことは、逆にインフラを手放しているのではないか。
必ず印刷機能の限界まで印刷、配布するという前提でページを売ってしまうとどうなるだろうか。
CGMでもいいし、どこかの出版社に一ヶ月見開き2ページを有効利用の提案ができれば、文庫本一冊くらいの連載ができる。
広告費ではなく、部数増による販売収入の増加を目指してみてはいかがだろうか。
広告の価格低減との兼ね合いもあるだろうが、単純にインフラの中を通っている情報量を削減していくだけでは、メディアとして資源の有効活用から、離れていると言えるのではないか。


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2008年08月10日

M&A時代の企業防衛術



経営学ついでに、よんだ一冊。
M&Aとは?その防衛策とは?
という点について、基礎的なことを教えてくれる。

MBOとかクラウンジュエルとか、一通M&Aについての知識を解説しているが、概論にとどまり、実践的な戦術などについては専門書を読むべき。
真山仁氏の「ハゲタカ」に出てくるような話を解説不要で読める方には不要。
基礎の振り返りとしては十分に元が取れた。

非常に興味深い”M&Aで狙われる企業”が載っていたので記載しておく。
・時価総額が相対的に低い
・粉飾を長年行ってきた
・現預金を持ちすぎている
・経営陣が頻繁に交代する
・規制に守られてきた
・不祥事が発覚した
・M&Aに絡んで脆弱になった
もちろん上場企業対象の著作ではあるが、一部新聞企業にもあてはまる、というのは言い過ぎではあるまい。


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半島を出よ(上)(下)



村上龍氏渾身の作品。
北朝鮮からやってきた400人のテロリストと日本、そして若者の群像劇を、占拠された博多を舞台に描く。

説明的な描写と羅列表現が異様に長い部分は賛否両論かもしれないが、私は非常に面白かった。
リアルなシュミレーションに、改めてこの国の政治やマスコミ、そして個人の病理を呈してくることで考えさせられる。

特に残った部分としては、AかBか決定的な決断をしないといけない時に限り、政府も個人も、決断ではなく瑣末な事象にばかり目を取られ、解決を先延ばしすることしかできないという現状。リアルな新聞社の経営陣も、きっと同じような悩みを抱えているだろう。

私自身が二年ほど博多に住んでいたこともあり、大濠公園や百地浜など、街の描写は目に浮かぶようだった。

非常に内容が濃く、厚いこともあり時間はかかるが、読んで欲しい一冊(二冊ですが)


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2008年08月05日

アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法



感激しました。
こんなに美しく仕事ができるなんて。

本書はマイクロソフトのPMが書いた、プロジェクトマネジメントの本。

プロジェクト管理の勉強をしているときに読んだ本だが、マイクロソフト社がどのように効率的に仕事を片付けていくか、どのような点に注意すべきなのか、という点がつぶさに記載してあり、非常に面白い。

こういうと、「理系の本ね」と思われるかもしれないが、結局日々の仕事はプロジェクトに帰着する。新聞を作る仕事だって毎日終わるプロジェクトだし、労連の委員もそうだ。
自分の中でも共通化、効率化していかないと、いつまでも現状に追われてしまう、誰の目にもあきらか。

年功序列、体育会系の新聞社にどこまで通用するか保証はできないが、少なくとも自分の仕事に変化は起きる。理論的に学ぶことができるはずだ。


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